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勇気を持って神と共に歩む
勇 10章 52–57ページ

10 モーセ

正しい生き方を選んだ人

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モーセという名前は,ヘブライ人の両親が付けたのではなく,モーセを養子にしたエジプトの王女が付けたものでした。王女は赤ちゃんのモーセをナイル川で助けたので,「水から救い出された」という意味が込められたその名前を付けました。王女はモーセに王族の一員として立派に育ってほしいと思っていたことでしょう。聖書によると,「モーセはエジプト人のあらゆる知恵を教えられ」ました。モーセが一流の教育を受けるのを見て,王女はうれしく思ったに違いありません。

モーセは非凡な青年になりました。聖書によれば「話も行動も力強いものでした」。エジプトで高い立場を得て,裕福な暮らしを楽しむこともできたでしょう。でもモーセは,そのような生き方がエホバに喜ばれないことを知っていました。これからの人生をどう生きるかを考えなければなりませんでした。

モーセは40歳の時,自分がどんな生き方を選んだかが周りの人にはっきり分かるようにしました。聖書にこう書かれています。「信仰によってモーセは,成人した後ファラオの娘の子と呼ばれることを拒み,罪のつかの間の快楽にふけるよりも神の民と共に虐待されることを選びました」。正しい生き方を選んだことに,モーセの信仰と勇気が表れています。しかし,モーセは正しいことをしたいと願いながらも失敗してしまったことがあります。

モーセはイスラエル人を「兄弟」だと思っていたので,彼らがひどい扱いを受けているのを見て何もせずにはいられませんでした。ある日,仲間がどれほど苦しんでいるかを間近で見ようと出掛けていったところ,監督官と思われるエジプト人がヘブライ人の奴隷を殴っているのを見ました。モーセがそのエジプト人にやめるよう言ったかどうかは分かりません。モーセは「辺りを見回し」ます。その奴隷を助けてくれそうな人がいないかどうかを見るためだったのかもしれません。でも誰もいませんでした。それで自ら行動に出て,「そのエジプト人を殺して」しまいました。最初から殺すつもりだったのか,それとも怒りのあまり力が入り過ぎてしまったのか,聖書には書かれていません。いずれにしても,モーセはこのままではまずいと思い,遺体を砂の中に隠しました。

エジプト人の監督官がヘブライ人の奴隷を殴っているのをモーセが見ている。

次の日,モーセはまた出掛けていき,今度はヘブライ人の奴隷同士のけんかを仲裁しようとしました。ところが,悪い方の奴隷にこう言われました。「誰があなたをわれわれの支配者や裁判人にしたのか。あのエジプト人を殺したように私も殺すつもりか」。モーセは自分のしたことが知られてしまったと分かってぞっとし,自分の身が危ういと感じます。

モーセが思っていたのとは全く違う展開になってしまいました。聖書によると,「モーセは,神が自分を使って兄弟たちを救おうとしていることを理解してもらえると思ったのですが,兄弟たちは理解しませんでした」。モーセは,自分はエジプトで奴隷にされているイスラエル人を救い出すために神から選ばれたと確信していたようです。でも,まだエホバが決めた時ではないということを理解しておらず,イスラエル人の気持ちも分かっていませんでした。イスラエル人たちは,エジプトの王室で育ったモーセを信頼していなかったのです。

モーセは,富や名声を得るためではなく,エホバの民を救うために生きることを選んだ。

モーセは,エホバの民をエジプトでの奴隷状態から救い出すことは自分にはまだ早い,ということを分かっていませんでした。神から見てモーセはまだ適任ではありませんでした。確かにそれなりに勇気があり,「話も行動も力強い」人でしたが,エホバはモーセに温厚さを身に付けてほしいと思っていました。モーセには,軽率にエジプト人の男性を殺してしまうようなところがあったからです。その殺人事件は間もなくファラオの耳に入りました。

ファラオはモーセに事情を聞こうともせず,モーセを殺そうとします。それで,モーセはエジプトから逃げました。裕福で快適な暮らしや目立つ立場を後にして,知らない土地に向かったのです。勇気を振り絞り,遠く離れたミディアン地方に行きました。その荒涼とした土地に亡命したモーセは,そこで何十年も「外国人居住者」として暮らすことになります。モーセには,自分を変えてより良い人になるのに必要な勇気があるでしょうか。エホバが望んでいるような温厚で謙遜な人になれるでしょうか。

おびえた様子のモーセが,走ってエジプトから逃げる途中で後ろを振り向いている。

読んでみましょう

  • 出エジプト記 2:11-22

  • 使徒 7:22-29

  • ヘブライ 11:24-26

考えてみましょう

どんなところにモーセの勇気が表れていますか。

もっと調べよう

  1. 1. イスラエル人がエジプトで奴隷にされていたことを示す,どんな考古学上の証拠がありますか。(塔研20.03 30)A

    パピルスの巻物の断片

    Courtesy Brooklyn Museum, gift of Theodora Wilbour

    写真や挿絵A: 奴隷の名前が書かれた古代エジプトの表の断片。セム系の名前が40以上挙げられていて,エジプトでイスラエル人が奴隷となっていたことがうかがえる。

  2. 2. モーセは両親から教えられ,その後「エジプト人のあらゆる知恵を教えられ」ました。それぞれどんな教育だったと考えられますか。(使徒 7:22。塔02 6/15 10ページ2-5節)

  3. 3. エジプトでは通常,死んだ人をどのように葬りましたか。モーセがエジプト人を殺した上に,防腐処置や埋葬をせずに遺体を砂の中に隠したことについて,エジプト人たちはどう思ったと考えられますか。(洞「エジプト,エジプト人」29節)B

    博物館で展示されているエジプトのミイラ

    写真や挿絵B: エジプトのミイラ

  4. 4. モーセはミディアンに逃げました。ミディアン人とイスラエル人にはどんな共通点や似たところがありましたか。(洞「ミディアン,ミディアン人」2項1-2節)

どんなことを学べるか

  • 怒りをコントロールすることについて,モーセの例からどんな教訓を学べますか。

  • 若い人は,勇気を持ってより良い生き方を選んだモーセにどのように見習えますか。C

    高校生の兄弟が進路を考えている。1. 一流企業で飛行機の設計をしている自分を想像している。2. 「いつまでも幸せに暮らせます」の冊子を使って男性と聖書レッスンをしている自分を想像している。

    写真や挿絵C

  • この章を読んで,モーセの勇気にどのように見習いたいと思いましたか。

視野を広げてみよう

  • この章の内容からエホバについてどんなことを学べるだろう。

  • この章で考えたことはエホバの目的とどんなつながりがあるだろう。

  • エジプトやミディアンにいた頃のことについて,復活したモーセに聞いてみたいことは何だろう。

見てみよう

モーセの自己犠牲的な生き方にどのように見習えるでしょうか。

「信仰の強い人と欠けた人 どちらに倣いますか モーセとファラオ」(2:27)

モーセは,ぜいたくな暮らしをするのではなくエホバに仕えることにしました。そのような生き方は現代でも賢明でしょうか。

「永遠に続く仕事を選ぶ」(4:58)

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