共産主義は真の宗教を砕くのに失敗する
1958年度ヱホバの証者の年鑑からの報告
ルーマニヤ
鉄のカーテンの背後にあるこの国のわざはこの年のあいだ,著しく改善されました。改善という意味は,ルーマニヤ人のヱホバの証者の為している良いたよりの伝道が拡大されてきたという事です。多くの困難に耐え忍ばねばならなかつたにも拘らず,この国にいる私たちの兄弟は忠実に励みつづけ,備えが与えられたことと,良いわざを行い得ることに喜びました。
制度内のある者は分裂を起そうと図り,『ヱホバの台は卑しきなり』と言つたその言葉によつて,幾人かがその者の後に従つたようです。この事を言う者は確かに離れ去り,これに同意する者も共に離れ去ることでしよう。忠実な者は神の備えられる食物にひきつづき養われます。
兄弟たちがルーマニヤで受け取つた知らせは忠実な人々を大いに喜ばせました。時々,新しい逮捕があつても,彼らはヱホバに依り頼んで平静を保つています。彼らのわざは善意者になした再訪問と司会した聖書研究の点できわだつています。兄弟たちは野外の経験を送ることができませんでしたが,それでも良いたよりを忠実に伝道していること,あらゆる努力を払つて他の羊を見出していることを知らせてきました。私たちは彼らと共に喜ぶことができます。全地のヱホバの証者と同じく,彼らはパウロの述べたことを感じているからです。『今わたしは,あなたがたのための苦難を喜んで受けており,キリストのからだなる教会のために,キリストの苦しみのなお足りないところを,わたしの肉体をもつて補つている。わたしは,神の言を告げひろめる務を,あなたがたのために神から与えられているが,そのために教会に奉仕する者になつているのである。その言の奥義は,代々にわたつてこの世から隠されていたが,今や神の聖徒たちに明らかにされたのである。神は彼らに,異邦人の受くべきこの奥義が,いかに栄光に富んだものであるかを,知らせようとされたのである。この奥義は,あなたがたのうちにいますキリストであり,栄光の望みである。』(コロサイ 1:24-27,新口)このようにして,御国の良いたよりは至るところで諸国民に宣べ伝えられています。
ロシヤ
ソ連邦からの報告は,ロシヤの各地にいる兄弟たちが極めて活潑に御国のよいたよりを伝道していることを示しています。前年度にくらべて,更に多くの証者が色々な人々に真理を語つてきました。そして特別な出来事の時に集まつた人数は最も満足すべきものでした。ヱホバの証者と交わる人々はますます増加しています。彼らは真理を持つているからです。そしてロシヤの政府は良いたよりの拡大を止めることができません。
しかし,悪魔に動かされた共産主義の組織は,真理と真理に敵対して戦うことを断念しようとはしません。そして,この事を彼ら自身の新聞に表明しました。ある新聞は次のことを指摘していました。ヱホバの証者の指導者が全く地下に潜つた後で,ヱホバの証者はソ連の目的に反対する活動を始めたというのです。その新聞は,ヱホバの証者の教えの主旨は,世界が至上主権者ヱホバによつて支配される,また人間はヱホバの御心を行う地上の僕に過ぎないといつた類の反動的な宣伝を広めるにあると述べ,更に次のようにも述べていました。『ロシヤおよび人民の民主主義国にいるヱホバの僕つまり伝道者のために,ノアは新しい方法を考え出した。すなわち,厳密な共謀の態度をとることを彼らに命じた。「鳩のように無害で,蛇のようにかしこくあれ」というのがノアの教えである。』
これを読んで感ずることは,共産主義政府の人々が全く愚かであり,その新聞や筆者は少しも事実を知らないということです。彼らは聖書のあることを知らないのですか。また,キリスト・イエスとその教えを一度も聞いたことがありませんか。たしかに悪魔は偽り者の父であり,悪魔に従う者は偽りを語ります。そして,地の表からヱホバの御名を拭い取ろうとしており,人がキリスト・イエスとそのよい,健全な教えを学んで生命を得ることを望みません。共産主義者は大きな努力を傾けて,会衆の僕たちを政府に協力させようとしいていることが報告されています。彼らはこれに成功しませんでした。入手した報告によれば,25年の刑を宣告された数百人の兄弟たちは今でも刑務所にいるというこです。幾人かは釈放されましたが,わざを指導すると共産主義者に考えられている兄弟は釈放されていません。ロシヤにいる大勢の兄弟から次の言葉が寄せられました,『迫害に苦しむ兄弟たちは,全地の兄弟に対して祈りの中で彼らのことを憶えて頂きたいと願つています。そして,いくらかでも境遇がよくなるようにと希望しています。』全体的に見ると,この年の終りになつてロシヤにおける迫害は以前ほど激しくありません。しかし,警官はある町々に入つて,ヱホバの証者を苦しめてきました。採決された決議に対する答として,モスコーは其の悪しき手先を用い,ヱホバの証者のある者たちに報復しているように思われます。ある町に入つた警官隊は,「ものみの塔」を家の中,あるいは身に着けて持つていたというので,多くの兄弟や姉妹を苦しめたと報告されています。50歳のある姉妹は両足の裏を打たれ,きれぎれになつた肉が両足からたれ下り,骨が見えるまで打たれましたが,それでも「ものみの塔」の雑誌を入手した場所を言いませんでした。このように残酷な人々は,12歳の少年の指をドアとドアの側柱との間にはさんでしめつけ,3日間後にその少年の指全部は折れました。この苦しみにあつても,ヱホバの証者であるその少年は「ものみの塔」を手に入れた場所を言わなかつたのです。別のある兄弟は意識を失うまで顔を打たれ,それから髪の毛を持つてひきづり回されました。一人が疲れると別の一人が代つて拷問を加えます。しかし,この場合にも拷問は失敗に終りました。ロシヤの兄弟たちが何処で「ものみの塔」を入手するかを言わせようとして,共産主義者は巨額の金銭を各個人に提供し,買収を図つてきました。また,真理を捨てて,裏切り者になるように人々を買収しようと努めています。
これは迫害の別の例です。ロシヤの支配者は未だに聖書をとても恐れているように見えます。送られてきたある手紙によると,聖書は何処に行つても買えず,聖書を持つていることが分ると取り上げられます。どんな価を払つても聖書を買うことはできません。大勢の人々が収容所から釈放されていますが,常に監視されており,一つの場所から他の場所に移ることは不可能です。警察が一人でもヱホバの証者を見つけると,警察の自動車と数人の警官が来て家を捜索し,すべてのもの,聖書さえも持ち去ります。警察はヱホバの証者を不利にする事柄を絶えず探しているのです。ロシヤの役人がこのわざを麻痺させようと努めていることは明らかですが,彼らは今までのところ成功していません。
ロシヤの政府が迫害をつづけていることは,彼らの罪をいつそう重くしています。彼ら自身も認めているように,ヱホバの証者が無実であり,無害であることを彼らは知つているからです。他の国々のヱホバの証者を注意深く観察した結果,他の国々において彼らは政治に全く関係せず,殺害に加わらないことが分つたと,ヱホバの証者に語つた役人もありました。どこにいても,ヱホバの証者は独特な人々であり,彼らの神に奉仕することを望む人々です。それで,ロシヤ政府も,ヱホバの証者が無実であり,無害であることを知つています。世界の他の場所で,ヱホバの証者についてはこれらのことが真実であつても,ロシヤにおいてはヱホバの証者を滅ぼさねばならないと彼らは考えています。ヱホバの証者は人類の唯一の希望として神の御国を伝道するからです。
去年の春,鉄のカーテンの背後のある国からモスコーを訪れた兄弟は,自分の国に帰つた時に次のような言葉を送りました。『あのすばらしい国で私は多くの経験を得ました。そこには大勢の親類がいて,彼らは「千年期の信仰者」と言われています。私は,その人々が大勢いる小さな村を知つていますが,不幸にしてその村に行けませんでした。その人々について尋ねたとき,彼らはとても変つていて投票しないばかりか,復活のような不可能なことを話し,世の終りに住んでいると言つている。彼らは娯楽を求めない。そして何時も聖書を研究しているということを聞きました。全くこの通りです……』ソ連政府は全警察力をあげて,ヱホバの奉仕者を沈黙させようと決意しているように思われると,ある報告は述べています。しかし,私たちの言いたいのは次の事です。最高至上の神は御自身の御約束に従つて,ロシヤにおいても良いたよりの伝道を成し遂げ得るように御自身の民を支えられ,活動力を与えられるでしよう。御国のこの良いたよりはすべての柔和な人々に宣べ伝えられねならないと,彼らは知つています。それは柔和な人々が永遠の生命に至る道を学び得るためです。ロシヤにいる私たちの兄弟はこの大きな特権に喜んでいます。