家族の反対を克服する ― ユーゴースラビヤ
私たちが,ヱホバの証者の大会に出席する時にきづくことは,証者たちの中で婦人が大きな割合を占めていることです。そして私たちは,彼女たちが持つ良いたよりの伝道を押し進めるための決意と熱心を尊敬します。『主みことばを賜う,その佳音をのぶる婦女はおおくして群をなせり。』婦人たちは,外国宣教に,また,御言葉を必要とする多くの場所に特別開拓者として出かけて行きました。また,彼女たちは,会衆に居残つてしつかりと立ち,制度を支持し,良いたよりを伝道するために非常な忍耐をして来ました。ヤコブは言いました,『忍び抜いた人たちはさいわいであると,わたしたちは思う。』(ヤコブ 5:11)ユーゴースラビヤから送られて来た一つの経験も婦人たちの忠実に関するものです。
私たちの多くの姉妹は,夫たちに知られないように,極秘裡に研究しなければなりません。というのは,彼らは,真理の大きな敵だからです。あるボスたちは,自分の部下に,真理にいる彼らの妻を手ひどく扱うように,またどんなものでも,すべての活動と集会を止めさせるようにと強制しました。そのようなむずかしい問題にも拘らず,この姉妹たちを援助し,「ものみの塔」が勉強できるようにするため,5,6の大きな都市では,婦人たちが市場に出かけたついでに出席できるよう,午前8時から9時の間に,「ものみの塔」の研究が開かれています。
私たちが,しばしば耐え忍ばなけばならないことを示すため,最近受け取つたある男の人からの手紙をここに引用します。この人は以前ひどい敵でしたが,今では次の手紙を書くような人になりました,『私は12年の間,私自身の妻に対して最も悪い敵でした。なぜかというと,妻は真理に入つてから後,暇な時間を全部勉強についやしてしまつたからです。ちようどその頃,私たちに一人の娘が生れました。私はこの娘を非常に愛しました。そして,この子供は妻の考えによつて育てさせはしないと,心の中に誓いました。この期間というものは,私は,妻を聖書から引き離すために,あらゆる事を行いました。妻を脅迫もしました。私たちは毎日けんかをしました。それというのも,私がいつも争いの種をさがしていたからです。そして遂には,妻を叩くことさえしはじめました。しかし,すべては空しいことでした。妻は聖書から離れなかつたのです。子供は次第に生長して,母親と一緒に勉強するようになり,私が一番嫌つていた研究集会にさえ母親について行きました。私はさびしさをアルコールでなぐさめようとしました。酔つて帰つては妻や子を打つことも度々でした。このようにして,真理と,妻と,子供に対する狂気じみた戦いの中に12年は過ぎ去り,娘ももう12歳になつて,母親と同じように真理の中に強くなりました。彼女たちがほつとできたのは,毎日私が仕事に出かけて帰る間のわずかの時間だけでした。私は,ほんとうに悪魔のように振舞つたので,2人にとつて私は悪魔の化身でした,妻と子の生活をひどくしまた真理から引き離すために,私がしなかつた悪いことというのは,ちよつと思い当りません。そのようにして私の憎しみは,妻の非のうちどころのない生活と,妻と子供の磐のような信仰によつて,克服されたため,私の憎しみは完全に崩れてしまいましたが,その時まで私は,ネブカデネザルが,野の獣と共に住んだ時のように,獣のような生活を送りました。
『つい最近,私は,何年か前真理のために死刑の宣告を受けたことのある真理にいる一人の兄弟と討論しました。その後私はつくづく,過去12年間の自分の生活をふりかえつて見ました。過去を分析することは私にはたまらないことでした。私は自分が自身の妻に対してどんなにひどいことをしたかを悟りました。しかし妻は,けんそんな態度ですべての事を耐えしのび,私はその一片の花崗岩のような妻に対し狂るつた波のようにぶつがつては空しく砕けたのです。私がひどく当れば当るほど,妻は愛とあわれみを示してくれました。
『私は今ようやくこれらのことすべてを悟りました。そしてそれに気づきはじめてから聖書を手にしましたがその教えには感謝せざるを得ません。私は今では全く違つた人間のようです。酒も煙草もやめ,やじ馬の仲間を離れて,愛する者と一緒にすべての研究に出席しています。2週間前,私は,私が狂人じみた行いをしていた間,妻と子を,そのようなすぐれた方法で導いて下さつた唯一の真の神ヱホバに,水の浸礼によつて私の献身を象徴致しました。
『私は,今はあなたの兄弟です。そして共に愉快な重くない荷を背負つて行きたいと願つています。すべてこれらの事をお知らせしなければならないと感じ筆をとりました。未だに時々,ヱホバに対してあまりにも長くまたひどく戦つたことが気になりますが,しかし,偉大なヱホバ神のあわれみに感謝しています。あなたは,パウロも間違つた行動をとつたけれど,神は彼にあわれみを持たれたことを手紙でお知らせ下さいましたが,私はその事に対して深く感謝しています。あなたは私の観念はどうかとお尋ねになるかも知れません。それは,言うまでもなく,他の廃物と共に捨て去つてしまいました。私は,あなたが説明して下さいました,清い生活をすることの必要さをよく認識したと信じております。そして妻も,私が進歩し円熟するようよく援助してくれます。ヱホバの過分の御親切により,以前の悪い行いに逆もどりはしないものと信じています。あなたのお示し下さつたすべての愛に感謝すると共に,あなたの兄弟として私の挨拶を送ります。』
この手紙は,サタンの活動によつて起された悲劇を示すものですが,同時に,不可能と思われるような事柄をも,良い方に変化させ得る真理の力を表しています。またそれは,このような事態に直面する姉妹たちの採るべき道をも示すものです。―ヱホバの証者の1958年の年鑑。