ネコに追われるネズミの役を演じたエホバの証人
● 61平方キロの国土を持つサンマリノ共和国は,イタリア中部の北寄りに位置しています。この国はまた,「ゆいしょある自由の国」と呼ばれています。しかしこうした名称にもかかわらず,サンマリノの警察は,今日まで,15年余にわたり伝道のためにこの国にやってきたイタリアのエホバの証人の宣教活動を妨げようとけん命に努力してきました。しかし今ではこの国にもエホバの証人の伝道者の一群が活動しており,警察はそれら証人たちが伝道しているところを見つけても追い出すことができません。
ひとりのイタリア人の伝道者は,「黒い自動車のエホバの証人」というあだ名をつけられました。彼がサンマリノの区域にはいると,警察は直ちに彼を監視するのです。ある日自分の車に4人の他の証人を乗せた彼は,警察のパトロールカーに追跡されていることに気づきました。彼は仲間の証人たちに向かって,彼らを市の中央で下車させるため,パトロールカーの追跡を振り切るよう全力を尽くしたいと言いました。市の中心部で仲間が伝道しているあいだ彼がおとりになって,いわばねこに追われるねずみの彼を演じるというのです。彼はその仕事をたいへん上手にやり遂げました。そして仲間を下車させるやいなや再びパトロールカーの追跡を受け,引き続き車を乗りまわし,国境に着くまで跡を追われました。国境を越したのち,その付近の地区で,以前伝道した家何軒かを再び訪問し,お昼ごろ別の地区からサンマリノに戻って仲間に会いました。その日の午前中,仲間の証人たちはなんの妨害も受けずに伝道でき,また多くの文書も配布できたので,みなたいへん喜びました。証人たちは神のみ名を宣明する特権にあずかれたことを心からエホバに感謝しました。
― エホバの証人の1970年度年鑑より